発売当日には手に入らず、Best Buyのオンラインショップで注文していたGoogleが作ったWifiルーター「OnHub」が届いたので、早速レビューしてみます。色は黒と青の2色販売されていますが、在庫の薄い黒バージョンを手に入れました。
パッケージと中身
配達業者はUPS、アメリカの配達は玄関先にポンと置いてあるので、今回もそんな感じでした。箱へのダメージは少なく角が潰れていた程度(日本だとそういうこともないかと思うのですが、日本の配達クオリティは凄すぎます)。
まず、パッケージが可愛い。これはルーターのパッケージではなくクールなガジェット。エメラルドグリーンの箱は、ちょっとだけティファニーを想像させてくれました。
中から出てきたのは黒い筒状の物体。思いのほか大きく(高さ20cm位)、一瞬 Mac Proの黒いヤツを想像しました。円筒形の表面はシリコンっぽい素材で覆われており、グレーがかった艶消しの黒。でも、シリコン素材的な安っぽさはなく、さりげなく部屋に置いておいても邪魔しないデザインです。
内容物は電源ケーブルとイーサケーブル2本のみ。それぞれ丁寧に箱詰めされ、ケーブルは本体と同じような素材、色でまとめられています。ケーブルは絡まりにくい軟質の素材で作られており安っぽくない。細かいところですが手抜きはないです。
紙の説明書は全くなく、内箱に次になにをすべきかが記載されています。ユーザが最小限の手数に目的に達せられるよう配慮している「Chromecast」と全く同じですね。
一番感心したのは入出力端子を保護している透明ラベル。ここは必ず外さないと使えないのですが、この保護ラベルに何をすべきかが書いてあります。事実、私はOnHubを使う上でこの文章しか読んでません。そして、アプリがあることを知り、ダウンロードを始めました。
簡単セットアップ
とりあえずiOSアプリをダウンロードし起動、そこで表示される手順通りに進めていきました。電源ケーブル繋いで、イーサネットケーブルを挿して、Wifiの初期接続をして、新しいネットワークを作成する。ここまで、数分で完了しました。ルーターはインターネットにつながっており、セットアップに使ったiPhone6 Plusも問題なく利用できました。
準備ができたのですが、ピカピカに様々なライトが光る従来のルーターと異なり、上部のリング部分が光るのみとシンプル。その明るさはアプリから調整可能とあくまでも周りとの調和を考えたデザインなのが感心させられます。
どんな機能があるのか?
従来のルーターよりも項目は少ないですが、十分でしょうね。設定は全てアプリ上で行います。
- Network
- Wi-Fi network, password
- Advanced networking
- DNS (Automatic, ISP or Custom)
- WAN (DHCP, Static IP, PPPoE)
- Extended settings (Static IP, Port forwarding, UPnp)
- Hardware
- OnHub (Brightness, restart, more…)
- General
- Managers
- App & support details (About, support, diagnostics)
- Privacy (Cloud services, usage stats)
Setting にはこのような項目が並んでいますので適宜変更可能です。もちろん何も変更しなくとも利用できます。
DNSはGoogle Public DNS (8.8.8.8) が指定されていたりします。
Managerは管理者なのですが、これはGoogle Accountと紐ついています。
色々とこれまでのルーターらしくないのですが、2つほど私が驚いた点を挙げてみます。
接続機器の帯域優先利用の設定が簡単!
「これからお父さんがパソコンでストリーミングビデオ見たいので、ほかの接続している子供たちのiPhoneとかタブレットよりも優先的にインターネット接続のスピードを割り当てたい」
もちろん、従来のルーターでも設定できましたが、設定が煩雑すぎてとてもじゃないけどやろうとは思わなかったです。しかし、OnHubは簡単。アプリ上で対象の機器を選択して、項目をワンタップするだけ。それで自動的に Priority device として1時間(時間も変えられる)設定されます。
Wifiネットワークのパスワードの扱い方
Wifiネットワークで一番頻繁に困るのがこれです。
「新しいAndroidタブレット買ってきた、すぐに使いたいからWifiに接続だ。あれ?そういえばWifiのパスワードは・・・書いておいた紙がない!あぁ、ルーターの設定見ないと・・・えぇ、ルーターの管理者パスワードってなんだっけ・・・」
もともとパスワードは簡単に他人に知られないように保持されるべきものなのですが、このアプリでは簡単にそれが見られ、iOSアプリ上でコピー&ペーストでき、更に他の場所へシェアも簡単にできます。これまでのルーターの常識からするとありえない仕様です。しかし、考えてみればWifiパスワードを72桁まで設定できますが、それを手入力することはしないでしょうし、セキュリティ上も突破されにくい。であれば、限られた人が利用するホームネットワークという環境に限っては、簡単に送信できて簡単にセットアップできれば良い。何かあればパスワードを更新してしまえばいい。そんな潔さが感じられます。
インターネットへの接続は快適になるのか?
様々なOnHub紹介記事には、ウェブサイトの表示が速くなった、ビデオのストリーミングで止まることがなくなった、という声が聞かれますが実際はどうなのでしょうか?
とりあえず数字として簡単にわかるインターネットの回線速度を測定してみることにしてみました。我が家のインターネット環境は AT&T U-verse の下り最大 24Mbps の契約です。 劣悪な環境ではないものの夜間はトラフィックが集中するのかいささか不安定なときもあります。
そもそもルーターを変えただけ、しかも経路の途中には現在のAT&Tルーターがまだある状態なので、全くスピードは変化しない(むしろ悪くなる)だろうと予想していました。
OnHubのアプリ内でも測定できますが、公平のため他のソフトで測定しました。それぞれ、Wifiルータを切り替えながら5回ずつ測定したのですが、結果は、、、
- iPhone6 Plus を AT&T から提供されているWifiルーターに接続した場合
- 下り 13.67 – 15.42Mbps、上り 5.59 – 5.91Mbps
- iPhone6 Plus を OnHub に接続した場合
- 下り 24.03 – 29.14Mbps、上り 4.98 – 5.09Mbps
OnHubの下りのスループット性能が圧倒的に良いです。ということで、数字上は明らかに性能向上しています。ネットワークの中間にあるAT&Tから提供されているルーターを取り除いたら、もっと良い結果が出るのかもしれません。
将来への布石
現時点ではOnHubは、ちょっとカッコイイWifiルーターにすぎません。しかし、全く解説されていない USB ポートといい、Privacy SettingにあるGoogle Onを利用していることを示す文言が、来たるべきIoTの世界を想像させます。このOnHubは、とりあえず現時点では、一般家庭に簡単、高性能なWifiルーターという売り文句で送り込まれますが、その時になってはじめて真のハブとして機能を発揮することになるでしょう。