パナソニックのカメラはOLYMPUSに比べるとあまりファームウェア更新で機能向上しない印象でしたが、今回の更新はかなり盛りだくさんです。フルサイズ機と同時に提供するということは、まだまだマイクロフォーサーズ機も頑張っていくよ!というメッセージも込められていそうで、嬉しい限りです。
さて「LUMIX G9 PRO」は、現時点でもかなり高品質にまとまっていますが、今回のアップデートでさらに良くなる予感。ニュースリリースは複数の機種について混ざっていますので、LUMIX G9のみの項目をピックアップしました。
【1】動物の動きにしっかりフォーカスする「動物認識AF」に対応
LUMIX Sシリーズでご好評の「動物認識AF」に対応しました。被写体の認識アルゴリズムに、AI分野の先進技術であるディープラーニングを応用した人体認識AFに加え、動物認識AF(※3)に対応しました。画像分析により画面上の動物の大きさと位置を認識し、被写体となる動物の体にAF枠を表示(最大3枠)。動物の顔の向きに関わらず被写体へのピント合わせが可能です。
※3 認識できるのは鳥、イヌ科(オオカミなどを含む)、ネコ科(ライオンなどを含む)の動物です。
フルサイズ機「LUMIX S1」シリーズの機能である「動物認識AF」が降りてきました。あまり動物を撮影しないので恩恵は少ないのですが、フルサイズ機の最新機能を反映させる姿勢が素晴らしいです。
【2】遠近の被写体、どちらを狙う場合も迷わない「AF-ON近側/遠側設定」に対応
ピントを合わせたい被写体が、手前にあるか奥にあるか、優先する対象を選べる新しいAF制御が可能になりました。AF-ON時に[近側]に設定すればピントが背景に抜けるケースを抑えられ、[遠側]では手前の障害物の影響を受けにくいので、スムーズなピント合わせが可能です。[近側][遠側]は、Fnボタンに設定することで瞬時に切り換えることができます。
これはかなり素晴らしい!子供の運動会で走っている姿を追っている時に手近にある柱やパネルみたいなものにフォーカスしたり、近くにきた時に少しフレームアウトした瞬間に遠くの物にフォーカスされてしまったり、ということが防げそうです。
【3】細かなピント確認ができる「AF時ピーキング」に対応
MF時だけでなくAFS時も、ピントのピーク位置が色つきで表示されるピーキング機能に対応しました。被写体のどの部分にピントが合っているのかひと目で確認でき、細かなピント合わせが求められる撮影などで活躍します。
これもありがたいですね。オートフォーカスでピント合わせした時、実際どこにピントの山があるのかが一目でわかるようになります。AF+MF設定で使っているので、常時ONとなりそうです。
【4】動画記録機能の大幅な向上「4:2:2 10bit記録 4K/30p記録(MOV)、VFR、HLG動画、V-Log L(別売DMW-SFU1)」に対応
4:2:0 8bit記録に比べ2倍の色情報、全体として64倍の情報量を保有している4:2:2 10bit記録は、カラーグレーディング時の微妙な色調整や、ダイナミックな色変換、CG合成時の高品位なグリーンバック合成を可能にします。4:2:2 10bit 4K/30p記録(※4)をボディ内部のSDカードへ記録可能で、HDMI 出力の外部レコーダーを使用すれば、4K/60pでの4:2:2 10bit記録も可能です。
※4 連続記録時間が29分59秒を超える場合は記録を停止します。【その他の動画性能】
・V-LogL(別売DMW-SFU1)に対応
・VFR(バリアブルフレームレート)に対応
・HLG動画(HDR動画)に対応
連続記録時間の制限がありますが「LUMIX GH5」の動画機能に匹敵する向上となりそうです。とはいえ、動画はここまで活用できていないので宝の持ち腐れですが、HDR動画対応が気になります。
【5】ハイレゾモード時の動き補正に対応(MODE2追加)
ハイレゾモードで撮影時、動きのある領域に対する補正方法を[MODE1][MODE2]から選択できるようになりました。動きのある領域は合成処理を行わず、1枚の撮影画像のみを適用します。これにより、残像を抑制して自然な表現が可能です。
これも使い勝手の良いアップデートです。夜景をハイレゾモードで撮影場合、車のヘッドライトなどは光跡として残るのですが、不自然になることもあるため、どのように抑制されるのかは試してみたいです。あとは風で揺れる木の枝とか。
【6】ライブビューブーストの表示モード改善(MODE1追加)
天体撮影など暗い環境でも被写体や構図を確認しやすいよう、画面を明るく表示するライブビューブーストで、表示を[MODE1][MODE2]から選択できるようになりました。[MODE1]では、明るさは弱めで表示の滑らかさを優先。[MODE2]では、明るさは強めで視認性を優先したい撮影に有効です。
現在のライブビューブーストは、正直、天体撮影で使い物になりません!というのも、映し出される画像がコマ送りのように表示されるため、星にピントを合わせたくても、ピントを回した瞬間にその画像が映し出されないため細かな調整が不可能です。以前使っていた「OLYMPUS E-M1」の「LVブースト」は、レスポンスが良かったので、今回のMODE1追加で、天体撮影で使えるモードになることを期待しています。
【7】その他の機能向上
【ストロボ連携】
・Profoto社製コマンダー「Air Remote TTL-O/P」、「Profoto Connect-O/P」に対応(※5) ※5 すべての性能を保証するものではありません。
【AF性能】
・自動認識AFの主要被写体切り替えに対応
・クリエイティブ動画モード時、ライブビュー中のAF動作に対応
【操作性関連】
・ホワイトバランスに「AWBw」を追加
・測光モード「ハイライト重点測光」を追加
・測光モードの基準露出レベルの調節が可能
・オートレビューの時間設定値に0.5秒を追加
・Mモード+ISOオート時の動作を改善
・背面モニター消灯時の前後ダイヤル操作改善
・動画撮影時における手ブレ補正の動作安定性向上
「自動認識AFの主要被写体切り替えに対応」:具体的に何ができるようになるのかがよくわからないのですね。現在のAFの悩みどころとして、人物認識AFは凄まじく優秀なのですが、たくさんの人が写っている時、特定の人物のみフォーカスしたいにも関わらず、より顔認識がされやすい被写体にフォーカスされてしまう傾向があります。被写体をコントロールできるようになれば非常に助かります。
「ホワイトバランスに「AWBw」を追加」:通常のAWBよりも温かみ(warm)のある色合いのWBのようです。夕暮れ時、WBを日陰や曇りモードとすると赤くなりすぎるので、いい塩梅でAWBwでバランスが取れれば使えるかもしれません。
「測光モード「ハイライト重点測光」を追加」:舞台やライブを撮影する時に明暗が激しい環境で白飛びするシチュエーションで便利ですね。今までは「スポット測光」と「AE/AFロック」で回避していました。
「Mモード+ISOオート時の動作を改善」:MモードでISOオートが動作すること自体初めて気がつきました!マニュアル操作なのでISO設定もてっきりマニュアルしか選択できないものかと思い込んでました。となると何が改善されるのかさっぱりなので、マニュアルを読むことにします。
まとめ
今回の機能アップはかなり大きな変更を含んでいて、ユーザとしては非常にありがたいです。そしてG9後継機は1、2年後に登場するでしょうから最後の大幅アップデートとなる予感もします。