赤い尖塔が真っ白な雪をかぶる——冬のブライス・キャニオン国立公園(Bryce Canyon National Park)は、ほかの季節にはない幻想的な表情を見せてくれます。オレンジの岩と白い雪のコントラストはここでしか見られない絶景で、しかも観光客は夏よりぐっと少なく、静けさのなかでじっくり味わえます。2015年1月に銀世界を堪能した経験をもとに、冬に訪れる際の注意点と、いちばんの見どころ「インスピレーション・ポイントの日の出」を紹介します。

アーチーズ、キャニオンランズ、ブライスキャニオン国立公園、2015年真冬の旅、旅程の紹介
2015年2月17日national-parks

真冬に訪れる際の注意点

まず大前提として、必ず事前に公式サイトで情報を確認しましょう。 降雪があるため、公園自体が開いているか、園内の道路に通行止めがないかを、出発前にチェックする必要があります。

  • 園内の道路は除雪車が除雪してくれますが、朝早すぎるとまだ除雪が済んでおらず、チェーンが必要なこともあります。
  • トレイルは雪と氷に覆われます。各ビューポイントですら雪が積もって足元が見えにくく、崖の前に出すぎると滑落の危険が。
  • 日陰は、凍った地面の上に雪が積もっていることがあるので、とくにスリップ注意です。
外部サイト
Bryce Canyon National Park (U.S. National Park Service)
www.nps.gov/brca/

冬の気温と最近の傾向

ブライスは標高が高いぶん、冬の冷え込みは本格的です。1〜2月の平年値は、日中の最高でも2〜3°C、明け方の最低は-8〜-9°Cほど。真冬はほぼ毎日が氷点下で、強い寒波の際には明け方マイナス30°C近くまで下がった記録もあります。

日中の最高(平年) 明け方の最低(平年)
12月 約2°C 約-9°C
1月 約3°C 約-9°C
2月 約3°C 約-8°C

私が訪れた日は明け方まで雪が降っていたぶん、マイナス3〜4°Cと比較的暖かい朝でした(それでも氷点下です)。日中でも3°Cほどだったので、防寒は本気の装備で臨んでください。

なお、公園の長期気象データの分析では、近年は冬の最低気温が上昇傾向にあり、凍結と融解をくり返す日数が年間およそ220日から180日未満に減少、降雪量も減ってきているとされています。フードゥーは凍結・融解のくり返しで形づくられるため、長い目で見れば地形そのものにも影響しうる変化です。

また、人気トレイル「ナバホ・ループ」の名物区間ウォール・ストリート(Wall Street)は、氷や落石の危険がある冬〜早春は閉鎖されることが多いです(再開の時期はその年の雪や気象しだい)。ただし閉鎖中でも、ナバホ・ループはもう一方のトゥー・ブリッジズ側を通って歩けるのが一般的。最新の通行状況は、公式サイトや現地のビジターセンターで確認してください。

実際、私自身も晩秋(11月)に訪れたときはウォール・ストリートを上から下まで歩けましたが、真冬(1月)に再訪したときは閉鎖されていて、トゥー・ブリッジズ側を通りました。同じ冬寄りの時期でも、晩秋と真冬で状況がはっきり変わったのが印象的でした。

冬のハイライト:インスピレーション・ポイントの日の出

冬のブライス・キャニオンでいちばんのおすすめがインスピレーション・ポイントの日の出です。宿泊したルビーズ・イン(Best Western Plus Ruby’s Inn)のフロントでも「冬はサンライズ・ポイントよりここがきれい」と勧められました。太陽が右手から昇り、正面から左下に見下ろす尖塔群が陽に照らされて色を変えていく様子は、息をのむ美しさ。

訪れた日は日の出の2時間ほど前に到着。ほぼ満月だったので月明かりの写真も狙いましたが、あいにくの曇り空。それでも、その場にいた地元のカメラマンが教えてくれました。「インスピレーション・ポイントは日の出の瞬間が勝負。でも曇りの日は、雲の合間から2〜3回に分けて光が差し込むから、シャッターチャンスは意外と多いよ」——並んで三脚を立て、その瞬間を待ちました。

Winter Sunrise at Inspiration Point

重い雲の合間からの日の出

Winter Sunrise at Inspiration Point

朝8時頃、地元のカメラマンに教わった場所にて

冬のトレイルと持ち物

雪のトレイルは、夏とは違った静けさと美しさがあります。下りに歩くなら、装備をしっかり整えましょう。

  • :高地で乾燥するので多めに。途中で補給はできません。
  • 防水のトレッキングシューズ/スノーブーツ:雪道・氷道対策に。
  • 簡易アイゼン:急な上り下りが格段に安心になります。

冬季に歩けるおすすめコース(クイーンズ&ナバホ・コンビネーション・ループ)の詳細は、トレイル記事にまとめています。

ブライス・キャニオンのトレイル|ナバホ・ループとクイーンズ・ガーデンで谷底のフードゥーへ
2015年3月7日national-parks

クロスカントリースキー&スノーシュー

雪が積もると、ブライスはそのままウィンタースポーツのフィールドになります。

  • クロスカントリースキー:冬季に除雪されないフェアリーランド・ポイントやパリア・ビューへ向かう道が、そのままスキーコースになります。積雪が3〜4フィート(約1m)あれば園内の広い範囲を滑れますが、リムの外(谷側)へ滑り降りるのは禁止です。
  • スノーシュー:スキーと違い、リムの下のハイキングトレイルもたどれます。ただし積雪が30cmほどに満たないときは、スノーシューより登山靴+滑り止め(アイゼン)のほうが歩きやすいことも。
  • 道具の入手:滑り止めはビジターセンターやブライス・キャニオン・シティで購入できます。ウィンタースポーツ用品のレンタルがある場合もあります。

⚠️ 雪崩(アバランチ)に注意:頻繁ではありませんが、ブライスでは雪と泥が混ざった雪崩が起こることがあります。リムの縁には雪庇(せっぴ)が隠れていることがあるので近づきすぎない、歩行中に「ボフッ」という空洞音がしたら引き返す、単独行動を避ける——を心がけましょう。

まとめ

冬のブライス・キャニオンは、雪化粧した尖塔とインスピレーション・ポイントの日の出が主役。ただし氷点下&雪道なので、事前の情報確認と防寒・滑り止めの装備が必須です。準備さえ整えれば、ほかの季節では味わえない絶景があなたを待っています。

見どころ全体や行き方はこちらへ。

ブライス・キャニオンの絶景ビューポイント4選|ブライス・インスピレーション・サンセット・サンライズ
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