ヨセミテ国立公園(Yosemite National Park)でハーフドーム(Half Dome)を初めて間近に見たとき、ふと既視感に襲われました。この丸みを帯びたシルエット、どこかで見たことがある……。
そう、アウトドアブランド THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)のロゴです。今回は、ヨセミテ旅行がちょっと面白くなる豆知識を紹介します。

グレイシャー・ポイントから望むハーフドーム。この丸い輪郭にピンとくる人も多いはず
ノースフェイスのロゴは、ハーフドームから生まれた
THE NORTH FACE は1966年、アメリカ・サンフランシスコで生まれたブランド。そのシンボルマークは、ヨセミテのハーフドームから着想を得てつくられたものです。
デザインしたのは David Alcorn。1971年に、あの巨大な花崗岩の岩肌を、3本の弧(アーチ)を重ねたシンプルな図形へと落とし込みました。ハーフドームは、片側が切り立った一枚岩、残り三方がなだらかに丸まった、まさに「ドームを半分に切ったような」独特の形。その造形を最小限の線で表現したのが、半世紀以上ほとんど変わらずに使われ続けているあのロゴなのです。
つまり、ヨセミテでハーフドームを見上げるという行為は、ノースフェイスのロゴの「実物」を眺めているのと同じこと。アウトドア好きにはたまらないポイントです。
実は、日本とアメリカで「別物」
ここからがもう一つの面白い話。THE NORTH FACE は、日本とアメリカでラインナップがまるで違います。
理由はブランドの権利関係にあります。
- 日本(と韓国):ゴールドウイン(Goldwin)がライセンスを保有
- アメリカをはじめ世界のそのほかの地域:VF Corporation(米国企業)が展開
そのため、日本で売られているノースフェイス製品は、ほとんどが日本独自のもの。ナナミカ(nanamica)と組んだ「パープルレーベル(Purple Label)」のような、機能よりもファッション性を重視した日本限定ラインまで存在します。定番のヌプシ(Nuptse)ジャケットも、日本市場向けに体型やダウンの仕様を作り変えているほどの力の入れようです。
一方、アメリカ本国のノースフェイスは、あくまでタフな機能・技術重視。同じロゴを掲げていても、中身は「日本のノースフェイス」と「アメリカのノースフェイス」でかなり別物、というわけです。
アメリカで着るノースフェイスは、ひと味違って面白い
アメリカに住んでいたころ、ノースフェイスはよく普段使いしていました。日本で見るのとは品ぞろえが全然違い、日本に比べて安価に感じるうえ、思い切った色づかいの「尖った」商品も多くて、お店で掘り出し物を探すのがちょっとした楽しみでした。
旅行でヨセミテやアメリカ西海岸を訪れるなら、現地のアウトドアショップをのぞいてみるのもおすすめ。日本では見かけないデザインや配色に出会えるかもしれません。
※ノースフェイスのロゴは登録商標のため、本記事ではロゴ画像は掲載していません。実際のロゴはブランド公式サイトや店頭でご確認ください。
ヨセミテでハーフドームを見るには
肝心の「本物のロゴ」を拝むなら、ヨセミテのなかでもハーフドームがきれいに見えるスポットへ。とくにグレイシャー・ポイントは、ハーフドームが目の前に迫る屈指の絶景ポイントです。
渓谷の散策や滝めぐりの合間にも、あちこちでハーフドームの丸い背中が顔をのぞかせます。旅の計画は、こちらの総合ガイドからどうぞ。
まとめ
- ノースフェイスのロゴは、ヨセミテのハーフドームが原型(1971年・David Alcorn デザイン)。
- THE NORTH FACE は日本(ゴールドウイン)とアメリカ(VF)で展開が分かれ、ラインナップが大きく異なる。
- アメリカ版は機能重視で色も大胆。現地で探す楽しみあり。
次にヨセミテでハーフドームを見上げるときは、ぜひこの話を思い出してみてください。きっと、ただの岩山が少しだけ特別に見えるはずです。
参考:The North Face: A Storied US Brand and a Japanese Success Story(Nippon.com)